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1092話

電話線は切られていたが、警報器は鳴るはずだった。

李大柱は身をかがめ、張婷から渡されたカギを取り出して鍵穴に差し込み、二回ほどひねると、パチンと音がして両側のバネが緩んだ。

李大柱は両手でシャッターの下部を支え、ゆっくりと持ち上げていった。少しずつ、ほんの三十センチほど上げれば、自分が潜り込めるだけでよかった。

彼の動きは極めて緩慢で、同時に極度の緊張感に包まれていた。力加減を均一に保ちながら、シャッターは滑らかに上がっていき、かすかな音しか立てなかった。普通なら数秒で済む作業に、彼は丸五分もかけた。

やっと潜り込めると判断すると、シャッターの下部を支えたまま仰向けに寝転び、まず両足を滑り込ま...