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211話

一階に降りると、王生礼が上がってくるところだった。

「小林、やっと帰るのか?」王生礼が聞いた。

「事務室にちょっと長居してしまって。王局長、もう退勤時間ですが、まだ上に行かれるんですか?」

「ああ!張局長に少し用があってね」

危なかった!もう少し張明と甘い時間を過ごしていたら、王生礼に現場を押さえられるところだった。どうやら、事務室はとても危険な場所のようだ。

では、安全な場所はどこだろう?林彤は少し困惑した。不倫関係にある男女にとって、安全な場所などどこにもないことに気づいた。

それでも、彼女は張明が好きだった。まるで蛾が炎に惹かれるように、近づけば傷つくと分かっていても、危険だと知っていて...