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1160話

何小梅は「双規」という言葉に馴染みがなかったわけではない。しかし、まさか自分がその対象になるとは思ってもみなかった。

「双規」は『中華共産党規律検査機関案件調査業務条例』に由来し、その第二十八条第三款には「関係者に対して、規定された時間・場所で案件に関わる問題について説明を求める」とある。元々我が国では容疑者を長時間拘留して取り調べることができた。だが後に人道的配慮から、拘束は24時間を超えてはならないとされた。しかし、政府高官の場合、24時間で釈放されれば証拠を隠滅したり、共犯者と口裏を合わせたりする恐れがある。この抜け穴を埋めるために双規が用いられる。党の幹部に対して、指定された場所、指...