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651話

「手、切ったの?」江耀はすぐに前に出て、心配そうに尋ねた。

戚冰は微笑みを浮かべた。「大丈夫よ、心配しないで」

だが江耀には、彼女が押さえている指の隙間から絶え間なく血が流れ出ているのがはっきりと見えた。

「血が出てるじゃないか。大丈夫なわけないだろう。見せて」江耀は容赦なく戚冰の手を掴み、自分に見せるよう促した。

戚冰は江耀の手の力強さを感じ、顔を少し赤らめながらようやく手を離した。

すると江耀の目に映ったのは、戚冰の左手人差し指にある約4センチの切り傷。そこからは絶え間なく鮮血が流れ出ていた。

「こんなに深いなんて!」江耀は驚き、心配の色を浮かべた。「救急箱はどこ?止血するから...