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234話

姜阳は思案の末、やはり溜息をついて張社長には言わないことにした。張社長が本当に彼を探す時になったら、その時に話そう。

夜の帷が降りると、張社長はさっさと手持ちの仕事を片付け、オフィスを出て財務部へと足を向けた。財務部長の趙晨は張社長の姿を見るなり、すぐに駆け寄って尋ねた。

「社長、何かご用件でしょうか?」

張社長が財務部を訪れることは稀だった。来るとしても通常は日中であり、決して退社間際に現れることはなかった。残業の指示さえ、自ら伝えに来るのではなく、秘書を通じて連絡するのが常だった。

張社長の突然の来訪に、趙晨は何が起きたのか見当もつかなかった。

張社長は趙晨の椅子に腰を下ろし、趙晨...