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9話

太医が慕桑の脈を診終えると、簡潔に告げた。「もう大丈夫です。脈は安定しています」

やっと苦しい日々から抜け出せた。もう苦い薬を飲まなくていい、部屋に閉じ込められることもない。やったー、自由だ。

「行こう、御花園を散策しに」慕桑は意気揚々と宣言した。柳嬷嬷も考えてみれば、ここ数日才人様の気性を抑えつけてきたのだから、外に出て気分転換するのも良いだろう。礼儀作法はまだ十分とは言えないが、万歳爷もとくに何も仰らなかったし、規則や礼儀もこの一時が急ぎというわけではない。

積翠は器用に慕桑の髪を同心海棠髻に結い上げ、眉にかかる前髪を残した。それが小さな顔をより一層小さく見せている。髪の結い目には大...