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88話

ムーサンは彼が見つめてくるのを感じ、甘い笑顔を浮かべた。広い袖が二人の指を絡ませた手を隠している中、大胆に囁いた。「夫君、私にこんなに優しくしてくれて」

成帝の口元が緩んだ。彼女を連れて元宵節を楽しむのは正解だった。宮中にいる時よりも二人の距離が確実に縮まっていた。

ムーサンは片手に紅い八角の海棠花の羊角提灯を持ち、道端の露店の品々に目を輝かせていた。すべてが新鮮で興味深いようだった。美しい玉簪の花の木簪を見つけると、成帝の手を引いて甘えるように言った。「夫君、あの簪、綺麗ね。買ってくれない?」

成帝は溺愛するような笑みを浮かべ、「いいとも」と答えた。

劉明忠は後ろから銀貨を支払い、品...