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32話

「皇后様のお出ましでございます!」外の太監が高らかに告げた。

皇后は牡丹と鳳凰の模様が施された蜀錦の衣装に身を包み、その上から五色の金糸で飛翔する五彩の鳳凰が刺繍された黄色の薄絹の上着を羽織っていた。下には同じ色合いの蝶と百花模様が織り込まれた鳳凰の尾のような裾が広がる錦の裳を纏っていた。髪には一列に並んだ金線細工の宝石をあしらった鳳凰の簪を斜めに挿し、その姿は気品に満ち、優美そのものであった。

皇帝陛下と李妃が朱塗りの彫刻に金箔で花卉模様が施された丸テーブルで夜食を取っているのを見て、皇后は微かに笑みを浮かべながら李妃を皮肉っぽく見やった。ふん、これが所謂「大皇子が病気になった」という状...