3話
彼女は生きたかった。これが夢であろうとなかろうと、大きな変化の前では誰も安心して死に向かうことなどできない。彼女も凡人の一人に過ぎず、生き続けたいという願望は当然のこと。生死の境目で生存への欲求と意志が爆発する。
だから誰が何と言おうと、彼女は生き抜くつもりだった。
柳嬷嬷は慕桑の表情を見ながら、おずおずと尋ねた。「才人様、何も覚えていらっしゃらないのですか？」
才人？その言葉がどこか耳に馴染む。閃光が走り、雷に打たれたような衝撃。才人とは後宮の妃嫔の称号ではなかったか？まさか自分が……小学生の頃、前日に宿題をやり忘れて、翌朝不安な気持ちで「宿題があったなんて知らなかった」と言い訳したような、どうせ誤魔化せないとわかっていながらも一縷の望みを抱く気持ちで、彼女は尋ねた。「才人？それが私の名前なのですか？」
慕桑が緊張して運命の最終判決を待っていると、突然外から声が聞こえてきた。「皇太后娘娘がお見えになります！」
もう答えを待つまでもない。運命の神は確かに彼女に微笑んだ。地震で死に、血を見せずに人を殺す後宮に生まれ変わったのだ。入ってきたのは金糸で鳳凰の花模様が刺繍された金色の獅子紋錦袍を身にまとった四十代の婦人。頭には鍍金累糸の翠玉と宝石をちりばめた鳳冠を戴き、両鬢にはそれぞれ累糸に赤い宝石をはめ込んだ金の鳳凰の簪、左側には金に青金石をはめ込んだ五行二就の金約を挿していた。とても高貴な様子で、思わず太后娘娘の威厳に心が屈し、直視できないほどだった。薄茶色の八宝団花の対襟の衣装を着た喜嬷嬷が太后の手入れの行き届いた手を支え、鍍金に宝石をはめ込んだ護甲が輝いていた。
「太后娘娘、ご安泰を。太后娘娘、ご多幸を」バタバタと全員が跪いて挨拶をする中、慕桑だけがぼんやりと立ったまま、何が起きているのか分からずにいた。
太后は下着姿で一人寂しく立っている慕桑を見て、驚いたような悲しげな小さな顔に心を痛め、慕桑の冷たい手を握りしめた。「わが子よ、まだ病気なのに、どうして床から出てきたの？」振り向いて柳嬷嬷を見ると、目に怒りの色が浮かんだ。「なぜ見ていなかったのだ？彼女が無理をしても、お前は重大さがわからぬのか！」
柳嬷嬷は弁解せず、ただ跪いて罪を請うた。
慕桑は彼女たちがすぐに跪くのを見て心が痛み、しかも自分が降りたかったのだから、思い切って柳嬷嬷のために弁解した。「彼女のせいではありません。私が自分で降りたかったのです」太后が優しく話しかけてくれるのを見て、テレビドラマのように首をはねられることはないだろうと思った。
柳嬷嬷は太后に慕桑が目覚めてからのことを詳しく説明した。慕桑はすでにベッドに横たわり、帳を下ろして腕を出し、太医に脈を診てもらい、目覚めてからのあらゆる症状について詳しく質問された。
数人の太医は脈を取った後、病状について協議し、処方を検討した。最終的に、大きな驚きとショックを受け、頭も傷めたため、以前のことを思い出せないのだと結論づけた。注意深く養生すれば徐々に回復し、過去のことを思い出す可能性もあるという。
太后は太医の言葉を聞きながら、胸が痛んだ。過去の人々や出来事を忘れてしまったとは、彼女は弟や弟の妻にどう説明すればいいのだろう。婉才人を許すわけにはいかない。元凶があそこで平穏に過ごしているというのに、彼女の桑儿はこんな苦しみを受けなければならないなんて。
彼女は気持ちを落ち着けられなかった。大半の人生を楽しく過ごしてきたというのに、こんな思いをしなければならないなんて！今や彼女は高貴な身分なのだ。目先の利くない者たちが彼女の手の内にあるなら、厳しく対処するのも当然だろう。