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27話

目の前に立つ、珠玉の冕冠を頭に戴き、明黄色の龍袍を纏った男。生まれながらにして万物を見下ろす傲慢さ、山河をも飲み込む威厳、怒らずとも威圧感を放つ気迫を纏っていた。慕桑の胸の内で小鹿が跳ね回り、落ち着かない気持ちが湧き上がる。

慕桑の媚びるような眼差しと、頬を染める乙女らしい恥じらいを見つめ、皇帝の心は柔らかく溶けていった。慕桑の頬を愛おしげに撫で、意味ありげに「待っていろ」と一言残すと、未練なく背を向けて立ち去った。

「万歳様のご無事をお祈り申し上げます」慕桑は宮女たちを率いて礼をし、声には喜びが滲んでいた。

「出――発!」劉明忠が高らかに叫ぶと、皇帝の儀仗隊は御輿と共に遠ざかっていった...