椒房の寵

210話

「でなければどうするのですか？明日、良くない噂が立つのを避けるためです。ただ少し言葉を交わすだけの手間ですから」慕桑は仕方なさそうに言った。緑枝はよく理解できない様子で、娘娘が額を揉んでいるのを見ると、慕桑の髪をほどき、軽装に着替えるのを手伝った。

お嬢様は貴妃娘娘が母親に賜った白玉の金鳳翹頭銜珠の簪を手にもてあそびながら、夫人に敬服の念を込めて言った。「今日は本当に見識が広がりました。貴妃娘娘は九天から舞い降りた仙女のようで、気品に溢れ、人に温和で、本当に...本当に、その美しさを言葉で表現できないほどです」

大夫人は娘の羨望の眼差しを見て、思わず笑みを漏らした。「普段はいつも鼻高々なの...