椒房の寵

179話

慕桑は緑枝の顔に困ったような表情が浮かび、言いよどんでいるのを見て、すぐに事情を察した。淡々とした声で尋ねた。

「どこの宮から呼ばれたの？楊婕妤？」

緑枝は隠し切れずに頷くしかなかった。心の中では楊婕妤を恨めしく思った。うちのご主人様が病気だということも知らないの？こんなに急いで万歳爺を呼び寄せて何するつもり？まだ出産の時期でもないのに！以前は楊婕妤も実直な人だと思っていたけど、今見るとただの演技だったんだわ。ご主人様の勢いが少し弱まったと見るや、もう得意げになって。

慕桑は冷ややかに笑った。「男というものね」

緑枝はバラの蜜を一杯差し出し、慰めるように言った。

「お嬢様、お体が一番大事で...