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112話

皇后は退屈しのぎに菊韵と雑談しながら、窓の外の柔らかな日差しを眺めていた。「菊韵、敏妃はこの頃、風光る限りじゃないかしら。東西十二宮の権限を握り、さらには陛下の寵愛も受けて、人生の頂点に立ったようなものね」しばらくして、ため息まじりに呟いた。「ただ惜しいことに……」

菊韵は首を傾げた。敏妃があれほど得意絶頂なのに、何が惜しいというのだろう。「娘娘、何が惜しいとおっしゃるのでしょうか?」と疑問を口にした。

皇后は菊韵が自分の言わんとしていることを理解していないのを見て、興味深げに説明を始めた。「惜しいのは贤妃よ。こんな絶好の機会をつかめずに、敏妃一人に独占されてしまったのだから」贤妃がこんな...