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78話

一週間後、取材活動が終わりました。石棚村の村人たちや学校の子どもたちに見送られながら、私たちは名残惜しく別れを告げ、この1年間根を下ろした山村を後にする準備をしていました。

「江おじさん、いつまた会いに来てくれるの?」童先生の娘さんは母親の胸に寄り添いながら、私の手を引いて、涙目で尋ねました。

私は子どもの無邪気で純真な顔を見つめ、きちんと結われた天辺に向いたおさげ髪を優しく撫でました。これは間違いなくお母さんが結ってあげたものでしょう。お母さんが戻ってきてから、子どもはもう前のようなぼさぼさ頭の日々とはお別れしたのです。

お母さんがいるって、本当にいいものだな。

突然、私は姗姗のこと...