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70話

冷たい夜に人影は少なく、冷ややかな街灯の下、川辺の木陰をうろつく人はほんの数人だけだった。

萍児は私の腕に手を絡め、頭を私の肩に預けながら、二人でゆっくりと歩いていた。

私たちは言葉を交わさなかった。萍児はおそらく、昼間の婚約の幸せに浸り、その喜びを噛みしめ、明日への美しい未来を夢見ていたのだろう。

萍児は夢見がちな子だ。

私も以前は夢を見るのが好きだった。だが今は、夢など見ず、ただ現実だけを見つめている。

凍てついた大河を静かに眺め、水面に昇る半月を見つめていると、突然頭の中に一節が浮かんだ。「幾度も楓雨が青い花を痩せさせ、一色の新しい浮き草が江月の閑寂を映す」

半月は澄み切った...