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557話

食事の後、タクシーに乗って先に藍月を家まで送り、彼女が小区に入るのを見送ってから、自分の家に帰った。

今夜は束の間の楽しい時間があったものの、藍月が去り、一人になると、また丁浩然の件が頭に浮かび、気持ちが沈んでいった。

この件は早々に収まったし、藍月の応募にも障害はなくなったはずだが、それでも心の中はすっきりせず、憂鬱だった。

藍月のことをよく知っている私としては、彼女が今夜の出来事について何も考えていないはずがないと思う。私の前では何でもないような顔をしていても、きっと深く考え、あるいはもっと先のことまで考えているだろう。ただ、私も藍月も、まだ十分に遠くまで見通せていないと思う。結局の...