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433話

ハゲが手洗いに行ったので、私は辺りを見回した。誰もいない。

廊下を奥へ数歩進み、北側の部屋に近づくと、中から話し声とカードを切る音が漏れ聞こえてきた。

さっき胡静とハゲが話していた「お爺さん」に興味があった。一体誰なのか知りたかったんだ。

しゃがみ込んで、ドアの隙間に目を近づけると、中では牌九(パイゴウ)が行われていた。正面に座る3人は見知らぬ顔だったが、背中を向けている一人がどこか見覚えがあるような気がした。でも、誰か思い出せない。

見える3人はそれほど年配ではなく、「お爺さん」と呼べるような年齢ではなかった。ということは、ハゲと胡静が言っていた「お爺さん」は、私に背を向けているその人...