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428話

原稿を提出して事務室に戻ると、白雲はいなかった。

事務机に座り、外の暗い空を眺めながらぼんやりしていると、一陣の冷たい風が吹き、空から小雨がしとしとと降り始めた。

北方の三寒四温の初春、春雨は油のように貴重だが、どこか物悲しさを帯びている。

私は物憂げに雨の降る空を見つめ、胸に言い知れぬ寂しさが湧き上がってきた。

そのとき、ドアをノックする音がした。

「どうぞ」私はドアの方を見た。

入ってきたのは老顧だった。彼は貧困支援から戻った後も発行部門にいるが、元々経理出身で発行には素人だった。今はほぼ閑職状態で、年明けから私が彼に会うのは今日が初めてだ。

「顧さん、どんな風が吹いたんですか。どうぞお座...