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361話

夕暮れの闇、空の最後の彩りが消えゆく頃、藍月はそっと溜め息をつくと、振り向いて黙ったまま私をしばらく見つめた。突然、切ない笑みを浮かべたが、やはり何も語らなかった。

時に言葉は余計なもの。藍月の物憂げで寂しげな眼差しから、私はすべてを読み取っていた。

この沈黙こそが雄弁だった。

「暗くなってきたな。帰ろう。岩に雪があるから、気をつけて」私はそう言いながら手を差し出し、藍月が岩から降りるのを手伝おうとした。

藍月は黙って自分の手を私の手のひらに委ねた。

村の入り口にある大きな岩の上で、私は藍月の冷たくも柔らかな手を握りしめた。

片手で藍月の手を握り、もう片方で彼女の腕を支え、私の助けを借...