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270話

激しい情熱の絡み合いの後、萍児は満足して眠りについた。

暗闇の中、私は萍児の規則正しい寝息を聞きながら、無知で暗い目を見開いて、果てしない闇を見つめていた。突然、胸に大きな喪失感が押し寄せてきた。

夜は私に黒い瞳をくれたのに、私はそれで光明を探すことができない。

ふとした瞬間に、いつも深い茫然と喪失感に陥ってしまう。

憂鬱の理由を探し出すことも、心の中の憂鬱の暗号を解読することもできない。暗闇が訪れるたび、目を閉じるたび、萍児と肉体の喜びを分かち合うたび、青い月が侵入してくる。憂鬱はそんな時、決まってやってくる。まるで感染力の強い細菌のように、一瞬のうちに思考の麻痺した神経の一本一本を解きほぐ...