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19話

デスクに座り、私は急いで手紙を開けようとはしなかった。どれほど待ち遠しくても、この喜びは寮に帰ってからにしたかった。そこなら、誰にも邪魔されず、ゆっくりと藍月の手紙を読むことができる。ここでは、呉非の疑わしげな視線が常に私の上をさまよっているような気がする。彼は何か疑っているのかもしれないが、明確な証拠がないだけなのだろう。

藍月からの手紙は全て大切に保管している。オフィスではなく、私の寮の枕の下に。夜更けになると、藍月も眠れないだろうと思いながら、彼女の手紙を取り出して一通ずつ読み返す。藍月の繊細さや優しさを噛みしめ、共に過ごした一つ一つの仕草や笑顔を思い出しながら、温かく無邪気な記憶の中...