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171話

「どうなってんだ?少しくらいゆっくり歩けないのか!」心の中で不機嫌になっていた私は、突然ぶつかられて頭に血が上り、相手の顔もろくに見ずに大声で怒鳴った。

怒鳴った後で初めて相手を見ると、20歳にも満たない若造が、カバンを提げて息を切らしながら何度も謝っていた。「すみません、急いでいたんです。遅刻しそうで」

聞けば、どうやらこの若者は授業を受けに来たらしい。だが生徒ではないな。うちの生徒にこんな若いのはいない。

若者がまた中に入ろうとするのを見て、私は言った。「おい、こっちに来い」

若者は立ち止まって私を見た。その目は少し緊張気味だった。「何か用ですか?もう謝りましたけど」

私は若者の...