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906話

許霊は幼い頃から一度もエアコンの効いた部屋で眠ったことがなかった。昨夜、楚蔓は意地悪くエアコンの設定温度をかなり低くしていた。毛布で身を包んでいたものの、夏用の毛布はどうしても薄手だった。

しかも楚蔓は寝相が荒く、毛布を自分の方に引っ張って自分をしっかりと包み込み、許霊には何も掛けるものがない状態にしていた。

許霊はもともと無口な性格で、冷えて目が覚めても楚蔓を起こそうとはせず、そのまま毛布の外で一晩中冷気を浴び続けた。そのため今朝楚蔓が目を覚ました時、許霊の手足は冷たく凍えていたのに、顔はまるで火照ったように真っ赤に熱くなっていた。

王博は、そこに立ちすくみ、うつむいて弱々しく服の裾を...