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872話

「もしかして自分から先に動いた方がいいんじゃないか?」この考えが芽生えた瞬間、王博の心臓はドクドクと高鳴った。これは千載一遇のチャンスだ。万が一バレたとしても、言い訳の口実はある。

酒が彼の内なる欲望を引き出したのか、それとも先ほどの羅馨とのことで道徳的な防壁が崩れたのか、王博は今や胸の内で火が燃え盛り、裁きの日が来る前に、自分を思う存分解き放ちたいという思いでいっぱいだった。

深く息を吸い込み、王博は両手で太ももを押して立ち上がった。彼はすぐには外に出ず、鏡に向かって自分の姿をしばらく見つめた。顔を真っ赤にして、血走った目に欲望をたたえたあの怪物は自分なのか?なんて見知らぬ自分だろう!頭...