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263話

誰もが彼女が王家に嫁いで数え切れないほどの栄華を享受できることを知っていたが、夫が実は不具の身であることを知る者はいなかった。

あの災いの時、王家の人々は王博の従兄を間一髪で救い出したものの、王家の血筋を絶やそうとした者たちが、彼女の夫の下半身を傷つけてしまったのだ。そのため、王家に嫁いで六年経った今でも、彼女は夫と一度も契りを交わすことなく、今なお処女のままだった。

彼女にも欲望はある。しかし、無力な夫の傍らではどうすることもできなかった。王家の自分の家族への恩義のために従兄と結婚したのであり、この夫に特別な感情はなかったが、不義を働くようなことは決してできなかった。

これまでの歳月、林暮雪...