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38話

「巧妇難無米之炊とはよく言ったもので、今は米どころか鍋すらないじゃないか」

思えば当然だ。趙老のような金持ちが何を食べたいと思ったとき、自分で作るだろうか?

姜帆が窮地に立たされていたその時、突然、指輪から赤い光が閃き、黒々とした「大鍋」が姜帆の目の前に現れた。

「うわっ」

姜帆はこの突然現れた大鍋に驚いて後ろに跳びのいた。

これが鍋と言えば鍋だが、見た目は極めて奇妙だった。両側に耳があり、鍋の表面には山河万里、飛ぶ鳥や走る獣が彫られている。

八方位には乾、坤、兌、艮、離、坎、巽、震という八つの鳥篆が刻まれていた。

黒光りする鍋底からは三本の足が伸び、安定して立っている。三本の足...