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37話

この世界では誰しも身の置き所がないものだ。楚逸もまたそうであった。楚逸の心情のせいか、彼の宮殿には憂いの雰囲気が漂っていた。楚逸は翡翠の笛を取り出し、吹き始めた。今の彼はすっかり自分の世界に没頭していた。

一方、谭心は楚逸の傍らに立ち、心からの微笑みを浮かべていた。

いつしか、楚逸の思いは音符とともに漂い出ていた。「钱千よ、私がお前を好きでないわけではない。私にも使命があるのだ。両親の仇を討たなければ、一生後悔することになる。だから今はお前を傷つけるしかない。仇を討った後で、きちんと償おう……」

「何ですって?」女皇は激しく怒り、女官の衣服を掴み上げた。「寒国も宣国のように一夜にして滅び...