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308話

銭夜はこの時、すでにピエロの格好を脱ぎ、爽やかな少年の姿を見せていた。その容姿はとても端正で、清々しいハンサムさを持ち、少しの濁りもなかった……

銭夜は朱雀と銭千を連れて自分の秘密基地へと案内した。ここは大豊山という山で、彼らがいるのは人気のない大豊山の裏手にある谷間だった。言うまでもなく、ここは本当に美しい場所だった。

現代の大都市では、こんな景色の場所はもう少なくなっていた。あたり一面、小鳥のさえずりと草花や木々の香りに満ちている。銭夜は気分が落ち込むたびに、ここで一日中過ごすのだった。

「どう? 人もいないし広いだろ」銭夜は自分が見つけた場所を得意げに見回した。朱雀も満足そうに頷い...