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303話

こうして銭千の遺体は台の上に運ばれ、銭夜はまず呆然としたあと、すぐに追いかけて看護師と共に救急車に乗り込んだ。警察官は黙って見ていたが、何か決心したような、しかしどこか定まらない様子だった……

救急車の中で、看護師は小夜に尋ねた。「ねえ坊や、あなたは亡くなった方の何になるの?教えてくれる?」

銭夜は頷きながら銭千の冷たくなった手を握り、胸に詰まった思いをどう表現していいか分からないまま答えた。「僕は姉さんの弟です……」

「あら、じゃあ、ご両親は?」看護師は続けて尋ねた。死亡した人のために様々な手続きが必要で、やはり大人が対応した方が便利だからだ。小夜の表情はすでに麻痺したようになっていて...