Read with BonusRead with Bonus

64話

「そうよ、桂枝姉さん。あなたは確かに俺の女だった。ヤったし、本気で娶って一緒に生きていこうとも思った。でも俺が冤罪で拘置所に入れられた時、あんたは安県長と贅沢三昧の生活を送り、一度も俺に会いに来なかったじゃないか。それなのに今、俺が出所してからあんたの暮らしを気にかけなかったって責めるのか？」

「あんたは今、十分幸せそうに見えるけどな。目の前の事実を見れば、聞くまでもなく明らかだろう。違うか？」

安大壮は容赦なく反論した。

「大壮、桂枝姉さんを誤解してるわ。彼女はそんな女じゃない。当時会いに行けなかったのは、どこに拘留されてるか分からなかったし、行くこともできなかった。それに、桂枝姉さんに...