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53話

「確かに私はあなたを抱きたいと思ってるけど、あなたが考えてるような理由じゃないわ。私もお義母さんのお墓参りに来ただけ。墓地に二人の影を見かけて、墓泥棒かと思って確かめに来たら、まさかこんな若いカップルに出くわすなんて!」

「お前たちの話、全部聞いちまったぜ」

安大壮は意地悪く笑いながら言った。

安晴の可愛らしい顔は真っ赤に染まった。欧陽の背中を見つめる。彼は振り返りもせず、彼女のことなど全く気にかけていない。まさに先ほどの言葉通り、彼が彼女と一緒にいるのは単に体の関係が欲しいだけで、責任を取るつもりなど毛頭なかった。いざとなれば誰よりも早く逃げ出すだろう。これが自分の求めていた愛なのだろ...