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2763話

それゆえ、安大壮が人々に最も期待されていない場所、つまり最も険しい絶壁から幽情谷に入ることを選んだのだ。絶情峰さえも飛び越えた人間にとって、冒せない危険などあるだろうか?ここは絶情峰と対をなし、東西に位置し、安家砦の東側にある。目測では二つの峰は五、六キロほど離れている。絶情峰の下にある幽情谷について、安大壮は誰よりも熟知していた。毒蛇や野獣が多いとはいえ、彼と師匠は長年彼らと接してきたため、その習性を熟知し、谷の生き物たちと共存することができていた。だから、これらの凶暴な毒蛇や猛獣は安大壮が心配するものではなかった。

安大壮が警戒しているのは、この側の幽情谷にまだ未知の危険と秘密があること...