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2546話

アダムスの書斎の前まで忍び足で近づくと、中から誰かが話す声が聞こえてきた。「カビクという奴が私たちを密かに調査しているとでも言うのか?その情報は確かなのか?どうやって知ったんだ?」

その「カビク」という名前を耳にした途端、安大壮はピンと来た。カビクとは今日自分を応対した男ではないか。カルロス大統領の側近で、政治的な同盟者だ。もしかしてカビクの側近にもアダムスの手の者がいるのか?そうでなければ、カビクが自分を調査していることをどうやって知り得たのだろう。どうやらこの地の政治勢力は思った以上に複雑なようだ。

「この件は口外するな。スミス氏に調査させよう。彼の立場なら君よりも都合がいい。お前は身...