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1902話

安大壮は自分が隠れている木と山の斜面にある木との距離を目測した。およそ百五十メートル。正面から近づくのは不可能だ。遮蔽物がまったくないからだ。相手に接近するには、両側から迂回するしかないが、最大の問題は彼が身を隠している木から道の両側の茂みまで五、六メートルもあることだった。狙撃手の監視の下でそこまで安全に駆け抜けるのは極めて危険だ。どんなに腕の悪い狙撃手でも、そこまで外すことはないだろう。

だが、積極的に仕掛けてこの男を倒さなければ、三人ともここに足止めされてしまう。そのうち、他の仲間が来るかもしれない。この状況で、安大壮はある程度察しがついていた。今いる場所は反政府武装組織の基地に近づい...