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1699話

「前方の密林に反政府軍の見張りがいるんじゃないかと心配だ!そうなると前に伏兵、後ろに追っ手、逃げ場がなくなる」と安大壮は言いながらも、足を速め、一キロ先の密林へと急ぎ足で走り出した。

背中に乗った蒋英は、安大壮が夜中に雑草の生い茂る山中を走れることに驚いた。しかも彼女という成人を背負いながら。彼女はそれほど重くはないとはいえ、八十キロほどはある。それでも成人一人だ!

だが安大壮は全く違和感なく、何の圧力も感じていないように走り続けた。途中で何の困難や制約にも遭うことなく。

十分後、密林に近づくと、安大壮は振り返って後方を確認した。追っ手はまだ来ていない。彼は背中の蒋英に懐中電灯をつけるよ...