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812話

暗い地下牢の中、年を重ねた執事と黒装束の男二人が静かに立っていた。

執事は薄暗い牢獄内で、壁の隅に寄り添うように縮こまる男女に目をやった。皺の刻まれた顔に思わず嘆息の色が浮かぶ。

誰が想像できただろうか。王家の本当の当主とその生涯の愛した女性が、今や囚われの身となり、こんな場所に閉じ込められているとは。

しかも、もうすぐ彼らは命さえ保てなくなるのだ……

執事の躊躇いを見抜いたのか、傍らの黒装束の男が冷笑して言った。「どうしました?殷夫人の言葉をお忘れですか?」

執事はびくりと体を震わせ、目に恐怖の色が走った。しばらくして、彼は慌てて小声で言った。「わかった、始めてくれ。綺麗に片付ける...