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791話

北方に佳人あり、世を遺(のこ)して独り立つ。その一瞥の情趣が、李大宝の脳裏に深く刻まれた。自分の心臓の鼓動が聞こえるほどで、心の中で思わず「なんて美しいんだ」と感嘆し、ぼんやりとその場に立ち尽くしていた。

その妖艶な女性は李大宝のこの様子を見て、口元を微かに上げ、朱色の唇を少し開き、手に持ったグラスを軽く一口含んだ。顔に陶酔の色が浮かび、それから立ち上がり、水蛇のような腰をくねらせながら優雅に歩み寄ってきた。足元のハイヒールが奏でる澄んだ音色は、一歩踏むごとに李大宝の心を踏みしめているようだった。

間近でこの女性を見ると、李大宝はさらに心を奪われた。その絶世の美貌、豊かな曲線美、成熟した妖...