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575話

この声が響き渡った瞬間、李大宝と雲韻の二人の顔色が微かに変わり、慌てて振り向いた。

この山洞の中に、なぜ人がいるのか?もしかしてこの洞窟の本来の主人なのだろうか?しかし、話の調子からするとそうでもないようだ。

李大宝は心の中で疑問が渦巻き、少し離れた場所にある半分押し開けられた石碑を凝視した。その向こう側は真っ暗で何も見えない。聞き間違いだったのだろうか?

だが、隣の雲韻も緊張した表情を浮かべ、先ほど選んだ定規のような法器をしっかりと握りしめ、美しい眉を寄せ、その綺麗な瞳には不安の色が浮かんでいた。

そのとき、暗闇の中からゆっくりと一つの人影が現れ始めた……

それは一人の男だった。ごく普通のカ...