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510話

この声を聞いた途端、李大宝は眉をきゅっと寄せた……

「くそっ、なんでこのおばさんが入ってきやがった!」

ここは男子トイレだ。しかも李大宝はドアを閉めていたはずだ。外に男がいて本当にトイレを使おうとしていれば、事前に気づくはずだった。だが……さっき感じ取ったのは明らかに女性の気配だった。だからてっきり女性トイレに向かう途中で、男子トイレの前を通っただけだと思っていた。

まさか彼女がドアを開けて、男子トイレに入ってくるとは!

李大宝は眉をひそめながら、容姐の胸を掴んでいた手を離した。同時に首に巻いていたマフラーを素早く顔に巻きつけ、顔を隠した。

背後のこの女性の声を聞いただけで、李大宝は誰...