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130話

その果物店の棚は空っぽで、向かいのカウンターには禿げ頭の中年男性が座り、うんざりした表情で手を振りながら叫んだ。「もう営業してないよ、商売やめたんだ。出てってくれ、出てってくれ!」

李大宝は眉をひそめ、不思議に思った。おっさんのやつ、なんて変なんだ。店を開けておきながら商売しない奴がいるなんて。そりゃ商売が上手くいかないわけだ。

隣の夏梅は笑顔を浮かべながら、そっと探るように尋ねた。「店長さんですよね?私たち、果物を買いに来たわけじゃないんです」

その禿げ頭の中年男性は顔を上げ、二人をざっと見回した。田舎から来たとひと目で分かる格好をしていることに気づき、口をへの字に曲げて不機嫌そうに言...