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289話

「しまった、見回りが来た」

私はびくっと震え、尾てい骨の辺りがしびれるような痛みを感じた。そして、なにか出たような気がした。

本当だろうか?

下を見てみると、その場で喜びが込み上げた。あの女の子の口元に確かに何かがある。夢ではなかった。これは現実だ。

はは、どうやら私はまたあの能力を持っているようだ。ただ、まだ完全に立ち上がれないだけだ。

コホン、コホン!

咳をしながら、女の子は急いでティッシュを取り出して口元を拭った。目には恨めしそうな表情が浮かんでいる。私にはその目が読み取れる。きっと先ほどの私の手つきが彼女の心の奥底にある欲望を掻き立てたのに、その火を消してあげられなかったの...