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160話

「もう質問はいいから、早く行こう。遅れたら間に合わない」従兄が私の手を引いて大院の東門へと急いだ。「タクシーを止めてくれ。覚えておけ、どんな代価を払ってもタクシーを待たせておくんだ。少し多めに払ってもいい」

何をやってるんだ?

私は文句を言いながらも、従兄の言う通りにタクシーを手早く止めた。従兄は門衛の方へ走っていき、すぐに戻ってきて車に飛び乗った。「運転手さん、少し路肩に停めてもらえませんか?人を待っているんです」

「ここは駐車禁止ですよ」タクシー運転手は眉をひそめた。「見つかったら面倒なことになりますよ」

「すぐだと思います。少し勘弁してください」私は百元札を二枚取り出して運転手に...