




3話
「二つ買うよ、熱いのがいいな」
「はいよ」店の男は言いながら、大きな草紙で二つの湯気の立つ大きな白い饅頭を包み、姉に渡した。
姉は饅頭を持って私の側に来た。
「荏ちゃん、ほら、饅頭を食べなさい」
私は饅頭を見て驚きと喜びでいっぱいになり、手を伸ばそうとした瞬間、養母が叫んだ。
「この死に損ないの娘!何様のつもりだい?何の饅頭を買ってるんだい?こんなに大勢いるのに、誰が食べて誰が食べないってんだい?」
「これは私の小遣いで買ったの。荏ちゃんに食べさせたいだけ。まだ子供なんだから」姉はそう言いながら、饅頭を私の手に押し込んだ。私の冷たい手は、饅頭を握るとすぐにぽかぽかと温かくなった。
「まあいいさ、買ったものは仕方ない。あんたは彼が子供だって言うが、あんたも子供じゃないか?あんたも一つ食べなさい」養父が言った。
「お姉ちゃんも食べて」私は急いで姉に一つ渡そうとした。
姉は微笑み、手を伸ばそうとした。突然、どこからともなく一人の子供が飛び出してきて、私の饅頭をつかんで逃げ出した。走りながら猛烈に食べていた。
「あらまあ、誰だい?この小猿め!待ちなさい!」姉はそう言って追いかけた。
その子は数歩走ったところで、近くの木の椅子にぶつかって転んでしまった。
姉はその子の襟首をつかんで持ち上げ、まるで麻袋を引っ張るようにその子を連れ戻してきた。
「あんた、どこから来たの?どうして人の物を奪うの?」
私はその子を見た。10歳くらいで、痩せた体は震えていた。顔は黒と白のまだら模様で泥だらけ、髪はぼさぼさで、服もひどく薄かった。
この光景を私は決して忘れられない。40年経った今でも、よく思い出す。
この子がウェイランだった。私の人生で最も大切な人、後に私の弟となるウェイラン。彼との初めての出会いで、あの落ちぶれた姿の中で、私が最も忘れられないのは彼の目だった。
あの大きな目には恐怖と不安が満ちていたが、それでも澄み切って美しく、長い睫毛は小さな扇子のようにひらひらと動き、見る者の心をくすぐるようだった。
私は彼の目に見とれて、饅頭のことなど忘れていた。
「まあ、なんて清楚な子なんだろう。あなたはどこの家の子?どうして物を奪ったりするの?」養母が尋ねた。
その子は首を振るだけで、何も言わず、ただ震えていた。
「かわいそうに。春ちゃん、離してあげて、怖がらせないで。おいで、坐りなさい」養母はそう言って、彼を私の隣に座らせた。彼は私を見つめ、あの澄んだ大きな目で見た。
「この子はどこの家の子か分かりませんが、もう何日もここで食べ物を奪っています。この時代は、可哀想な人が多いですからね」お茶を売る店の男が言った。
「そう、孤児なのね。坊や、お父さんやお母さんのこと覚えてる?あなたの名前は?どこから来たの?」養母が尋ねた。
子供は首を振り、急に頭を下げてまた饅頭を食べ始めた。
奪った饅頭は、すでに半分以上食べられていた。
「この子はきっと何日も食べていないんだろう。無理もない、お腹が空いているんだから、食べさせてあげようよ」養父が言った。
「ほら、お茶があるよ」私は茶碗を彼に差し出した。
彼は私を見つめ、あの澄んだ目で、少しためらった後、ようやく私の手から茶を飲んだ。
「もっと飲む?」私はお茶を持って彼に飲ませた。彼は数口飲みながら、大きな目で私を見つめていた。
なぜだか、私の心は喜びで満たされた。
何年も後、ウェイランが私の腕の中で横たわるとき、私は彼を抱きしめてこの場面を話して聞かせた。彼はいつもそれを聞いて、ただ微笑むだけだった。
「本当よ、あの時あなたのあの目を見て、あなたが私を見つめているのを見た時、特別な親しみを感じたの。まるであなたがもともと私の家族で、私を探しに来たみたいだった。たぶん、あの時からあなたを好きになったのね」何年も後に私は彼に言った。
その美しい人は、何も言わず、ただ私の腕の中で静かに微笑んでいた。
私はあの時、彼も私に対して同じような親しみを感じていたのだろうと思う。