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507話

「もうエンジンかけるの?エンスト後の再始動は、まずギアをニュートラルに入れないと!」私は親切にアドバイスした。

「余計なお世話よ!わかってるわ!あたしが生まれた時から家には車があったのよ!」

「わかった、知ってるならいいよ」私は大人しく口を閉じた。お客様は神様だ。彼女の好きにさせればいい。

ところが胡若梅は車に対して全く感覚がないようで、乗り込むなり手足がぎこちなく、私の教えも聞き入れず、しかも初めての運転ということもあって、この駐車練習は異常に難航していた。

「どうして動かないの?またブレーキ踏んでるんじゃないの?」

「サイドブレーキ引いたままだよ!」と私は注意した。

胡若梅は顔を赤らめなが...