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430話

「テレビはついてはいたが、二人とも見ていなかった。互いに目配せし、密かに想いを通わせていた。

数日会えなかった思い焦がれた恋人に、小晴は確かに会いたかった。美しい瞳を瞬かせ、ある考えが浮かんだ。

「疲れちゃった、汗だくだから、洗面所で顔を洗ってくるわ」

そう言って、私に妖艶な微笑みを向け、くるりと身を翻して洗面所へ向かった。

その様子を見た私は一瞬きょとんとしたが、すぐに意図を察し、わざと大声で言った。

「あれ?お腹が痛くなってきた。やばい、トイレに行かなきゃ」

こうして、二人は前後して洗面所に入った。

ドアが閉まった瞬間、振り向いた私に、香り高い柔らかな肢体が飛び込んできた。

曲線美に富んだ...