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308話

「もしかしたら雯ちゃんかも」

この言葉を聞いて、晴ちゃんは私に白い目を向け、ドアのところまで歩いていった。しかし、ドアを開ける瞬間、その場に立ち尽くしてしまった。

その様子を見て、私は急いで声をかけた。「晴ちゃん、誰?」

ところが晴ちゃんは振り返って、意味深な笑みを浮かべながら言った。「当ててみて」

まさか本当に雯ちゃん?いや、それはありえないだろう。彼女は出張で一ヶ月近く帰ってこないはずじゃなかったか?

疑問を抱きながら、私は素早く車椅子を回して玄関に向かった。最初は呆然としたが、すぐに大きく口を開けて笑った。

来訪者は他でもない、章云云だったからだ。

「どうしてきたの?」

章...