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307話

「馨ちゃん?」

胡若馨の声を聞いた瞬間、私はすぐに声を返しながら、車椅子を転がして玄関へ向かった。

「強ちゃん、この方は…」

「会社の同僚だよ」

自分より若く、気品高くて冷たい雰囲気を持つ、まるで氷山の女神のような少女を見て、小晴の表情はやや不自然になった。

こんなに美しい子…強ちゃんと何か言えない関係があるんじゃ…本当に同僚だけの仲なの?

疑いを抱きながらも、小晴は体を横に寄せて、手で招き入れるジェスチャーをしながら笑顔で言った。「強ちゃんの同僚だったんですね、どうぞお入りください」

そう言うと、お茶を入れに行った。

高価な栄養剤が入った大きな袋を二つ持って、玄関にきりりと立つ胡若...