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844話

「そうしたら電話が鳴った。耳に当てると、白楽からだった。「剛さん、この後どうしますか?」」

「淡々と答えた。「門の前で見張っていろ。運を天に任せるしかない。どうせ中には入れないし、入れたところで見つからないだろう。何かあれば電話しろ」」

電話を切ると、タバコを口に咥えたが、火はつけなかった。ただそのまま咥えて、深く考え込んだ。浩子は窓を少しだけ開け、門の様子を窺っていた。車内はすぐに静かになった。

「入っていく車は少なくないな。アウディR8にマセラティ、GTRに大衆のファエトンとか。アストンマーティンのスポーツカーまであるぜ、かっこいいな。でも出てくる車はほとんどない。何時間も待ったけど...