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1176話

「賊を捕らえるには首領から、王麗を誘拐できるのは俺だけだ。他の誰かじゃ、この仕事はできない」

「王麗が消えれば、仏様も、軍刀も、二郎も、この三人は足並みが乱れる。そうなれば兄貴に影響を与える余裕なんてなくなる。たった一ヶ月でいい、一ヶ月時間を稼げば、後は何も問題なくなる」

私は顔を上げて旭兄を見つめ、少し途方に暮れた様子で言った。「今日、兄貴と話してきたんだ。表向きは笑顔で話してくれたけど、心の中の無力感が伝わってきた。あの、めったに見せない自信のなさ...事態が彼でさえ手の打ちようがないところまで来てるってことだよ。兄貴はいつもそう、心の中で何を考えていても、決して口にしない」

旭兄は...