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855話

天叢雲剑の真偽はさておき、その威力が凄まじく、使いこなせるならば、たとえ偽物であろうと、趙三斤はそれを本物として扱うだろう。そんな剣を簡単に鈴木三郎の手に渡すなど、そう容易なことではない。

趙三斤と柳浄天がそれぞれの思惑で考えを巡らせている間の一分、芝生での乱闘は質的な変化を遂げていた。元々黒蛇と死闘を繰り広げていた屈強な中年男性は、今や防戦一方となっていた。

そして本来全力を出していなかった慕辰と蘇琪にとって、真剣に戦い始めると、相手に対して絶対的な優位を築き上げた。簡単な一撃、一振りの剣で、二人の忍者を横薙ぎにした。

三人が揃って出手し、それぞれ一撃で相手を退け、勢いのまま前進し、相...